ナフサショックとは、建材や設備の原料となるナフサの価格高騰や供給不足によって起こる現象のことです。ナフサは石油からつくられる化学製品の原料であり、影響は建材や設備の値上がりや納期遅延として現れます。
2026年3月からナフサの価格高騰が注目されるようになり、新築住宅を検討している方は以下のように戸惑うのではないでしょうか?
- 建材や設備の値上げで新築がどれくらい値上げされるの?
- キッチンや給湯器の納期が遅れるって本当…?
ナフサショックの影響により、新築住宅では1棟あたり100万〜150万円程度の価格上昇が見込まれるという見方も試算もあります。
相談者さんえっ!! そんなに価格が上がるんですか?
それなら、今は家を建てずに少し待った方がいいんでしょうか……?



そう考える方も多いと思います。
ただし、建材や設備の価格が今後下がるとは限りません。むしろ、後述しますが、ウッドショックのときのように値下がらないように感じます。
まずは、現在の価格で希望する家を建てるといくらになるのか、利用できる割引や補助金を含めて確認してから判断しましょう。
本記事では、家づくりを検討している方に向けて、ナフサショックの概要から新築物件への影響、今取るべき対策までを解説します。
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ナフサショックとは?


ナフサショックとは、石油化学製品の原料であるナフサの価格高騰や供給不足により、関連製品の値上がり・納期遅延が広がる現象のことです。
ナフサは、プラスチックやゴムなど、幅広い製品の基礎原料として使われています。
例えば、住宅分野の場合、断熱材や塗料、配管材、設備機器の樹脂部品など、ナフサ由来の素材が多く利用されます。そのため、供給が不安定になると資材価格の上昇や調達遅延が発生し、工期の延長など、家づくり全体に影響を与える可能性が高いです。
住宅1棟あたりの正確な影響額について、公的機関からはまだ公表されていませんが、新築1棟で100〜150万円程度の価格上昇が見込まれるといった意見もあります。
ナフサショック下の家づくりでは、影響を受けやすい材料や設備を整理した上で、早期発注・在庫確保を依頼するなどの対策が必要です。



ナフサって、住宅そのものではなく、断熱材や配管、設備などいろいろなところに使われているんですね。



影響は建物本体だけでなく、設備や工期にも広がる可能性があります。まずは、検討している住宅会社でどの資材・設備に影響が出ているか確認しましょう!
ナフサショックが起きている背景・原因


ナフサショックは、単一の要因で起きているわけではありません。本章では、押さえておくべき3つの背景について見ていきましょう。
- 中東情勢の緊迫化
- 日本の構造的な依存体質
- 石油化学業界の供給制約
中東情勢の緊迫化
2026年2月末、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに中東情勢が緊迫化し、ホルムズ海峡の船舶通行が大幅に減少しました。2026年8月時点でも通常時の水準には戻っておらず、石油やナフサの安定供給には不透明感が残っています。
▼ホルムズ海峡


日本は原油の多くを中東から輸入しており、ナフサについても中東情勢の影響を受けやすい状況です。そのため、通航リスクが高まると、ナフサ由来の建材や設備にも価格上昇・納期遅延が波及する可能性があります。



中東の情勢が、家づくりの費用や納期にまで関係するんですね……。



そうなんです。すべての建材が一律に値上がりするわけではありませんが、採用する設備や部材によって影響は異なります。
ハウスメーカーで見積もりを取る際は、価格改定の予定や納期まで確認しておきましょう。
日本の構造的な依存体質
日本の製油所は中東産原油を前提に設備や処理工程が設計されており、他地域の原油へ柔軟に切り替えにくい構造です。
ロイターが石油連盟のデータとして報じたところによると、2026年4月11日までの週の日本の製油所稼働率は67.8%でした。中東産原油を短期的に他地域で代替できる割合も30〜50%程度にとどまるとされており、供給不安がすぐに解消しにくい状況です。
▼ロイター通信(2026年4月15日)
https://www.reuters.com/business/energy/japan-refiners-run-two-thirds-capacity-awaiting-crude-outside-gulf-2026-04-15
このような構造的な制約により、ナフサの供給不安や価格上昇はすぐに解消されにくく、住宅関連材料への影響も一定期間続く可能性があります。
家づくりの観点では、状況の回復を待つだけでなく、現時点で取れる選択肢を整理しておくことが重要です。
例えば、断熱材については、石油由来の発泡系素材(ウレタン断熱)から、グラスウールやロックウールといった比較的影響を受けにくい素材に切り替えます。素材に切り替えることで、供給不安の影響を受けにくくなり、家づくりを安定して進めやすくなります。
石油化学業界の供給制約
石油化学メーカーで原料不足が生じると、減産や出荷制限が発生する可能性が高いです。その結果、ナフサ由来製品の供給不足や価格高騰が起こり、住宅用の部材や建材にも影響が広がります。
家づくりでは、一部の部材が不足するだけで施工が止まるリスクがあります。
例えば、配管材が届かなければ床工事や設備の据え付けが進まず、断熱材が確保できなければ内装工事に着手できません。このような影響は、単なる値上がりにとどまらず、工期の遅延など計画全体に波及します。



一部の部材が足りないだけでも、工事全体が止まってしまうことがあるんですね……。



そうなんです。家づくりは複数の工程がつながっているため、必要な部材が届かないと次の工事へ進めない場合があります。
次の章では具体的にどの部材が影響を受けやすいかを解説するので、見ていきましょう。
ナフサショックで影響を受ける住宅建材・設備


ナフサショックの影響は、すべての建材・設備に一律で出るわけではありません。本章では、影響を受けやすい4つの建材・設備と、それぞれの注意点を整理しました。
- 断熱材
- 塗料・防水材・接着剤
- 配管材・樹脂系建材
- 住宅設備
断熱材


断熱材とは、屋外の暑さや寒さを室内に伝わりにくくし、室温を保ちやすくするために壁・屋根・床などに施工する材料です。ウレタンフォームや発泡ポリスチレンなど、ナフサを原料とする素材も多く使われています。
そのため、ナフサの供給が不安定になると、価格上昇や供給制限の影響を受けやすいです。
具体的には「希望していた断熱仕様が採用できない」「想定以上にコストが上がる」といったリスクにつながる可能性があります。住宅会社との打ち合わせでは、採用予定の断熱材が影響を受けているかどうかを事前に確認しておきましょう。
塗料・防水材・接着剤


塗料や防水材、接着剤には、ナフサを原料とする化学製品が多く使われています。住宅では、外壁や屋根の塗装、ベランダ・バルコニーの防水、床材や内装材の接着など、さまざまな工事で使用される材料です。
そのため、ナフサの供給が不安定になると、原材料費の上昇や出荷制限の影響を受けやすくなります。
材料価格が上がれば、外装・屋根・防水などの工事費にも転嫁され、当初の見積もりから費用が増える可能性があります。
配管材・樹脂系建材


給排水管に使われる塩化ビニル管や、樹脂サッシなどの樹脂系建材(プラスチックを原料とする建材)にも、ナフサ由来の素材が使用されています。断熱材や塗料ほどではないものの、原材料の価格上昇や供給不安の影響を受けやすい領域です。
特に配管材は住宅の基礎部分に関わるため代替が難しく、供給に問題が生じた場合でも仕様変更がしにくくなります。その結果、コスト増加や工期の遅延といった影響につながる可能性があります。
住宅設備
キッチン・トイレ・ユニットバスなどの住宅設備は、部品や内部の樹脂素材を通じてナフサの影響を受けます。急な供給停止というより、納期の長期化や一部モデルの受注制限として現れるケースが多いです。
TOTOがユニットバスの受注を一時停止・調整したケースが2026年4月に報道されたように、必要な設備が必要なときに入手できなくなる可能性もあります。
▼日経新聞:TOTO、ユニットバスの受注を停止 ホルムズ封鎖で材料ナフサ不足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC132F10T10C26A4000000



設備にはこだわりたいですが、納期も気になります…。



その場合は、絶対に譲れない設備と、変更できる設備を分けておくと判断しやすいです。納期に問題が出たときも代替案を考えやすくなります。
ナフサショックによる家づくりへの影響


ナフサショックが家づくりに及ぼす影響は、主に以下の2点です。
- 建築費が上昇する
- 納期が遅延する
それぞれについて、ポイントを確認しましょう。
建築費が上昇する
断熱材や塗料、配管材などナフサ由来の建材が値上がりすると、住宅全体の建築費が上昇しやすくなります。石油不足は材料費だけでなく、物流費を上げる可能性もあるため、見積総額への影響がさらに広範囲に及ぶかもしれません。
新築では、100万〜150万円程度の価格上昇が起こる恐れがあります。
仕様によっても価格差が生じるため、標準仕様での価格変動と希望仕様での価格変動を確認することが大切です。
住宅会社との打ち合わせでは、標準仕様と希望仕様それぞれの価格変動に加えて、価格がいつまで固定されるのか、増額する場合はどのような条件になるのかも確認しておきましょう。
納期が遅延する
ナフサ不足で建材や設備の供給が不安定になると、納期が長期化しやすくなります。材料の受注制限や出荷停止が起きると、工事の進行が止まるケースもあります。
また、希望する建材や設備を確保できない場合は、断熱材やキッチン、トイレなどを別の商品・仕様へ変更しなければなりません。
工期が延びると、引き渡し時期の遅れや仮住まい費用の増加につながります。スケジュールを組む際は、部材の入荷予定だけでなく、遅延した場合の代替品や仕様変更の可否まで確認しておきましょう。



価格が上がるだけでなく、工期が延びて仮住まいの費用まで増える可能性があるんですね……。



そうなんです。家づくりでは、建物価格だけでなく「引き渡しまでにいくらかかるか」で考えることが大切です。
工期が延びると、家賃や仮住まい費用が増える場合もあるため、見積もりだけでなく納期も含めて比較しましょう!
ナフサショックはいつまで続く?


現時点で、ナフサショックの明確な終息時期は示されていません。背景にある中東情勢や物流の不安定さは、短期間で解消しにくい状況です。
短期的には供給不安と価格の高止まりが続き、中期的には代替調達や供給体制の見直しによって徐々に安定していくと見られています。
ただし、ニュース上で状況が落ち着いたとしても、家づくりへの影響がすぐになくなるとはわけではありません。
住宅では多くの建材や設備を使用するため、以下によって、価格や納期への影響は異なります。
- どの材料が不足しているか?
- 住宅会社が在庫を確保できているか?
例えば、ポリスチレンフォームやウレタンなどの断熱材を採用している場合、価格上昇や受注制限の影響が残る可能性があります。そのため、終息を待つのではなく、現時点で選べる建材や設備、納期への影響を確認しておくことが大切です。



ナフサショックが落ち着くまで待つより、今できる対策を考えた方がいいんですね。



その通りです。気になるハウスメーカーや商品があれば、価格や納期を確認したうえで、早めに検討を進めるのもひとつの方法です。
また、断熱材であれば、グラスウールやロックウールなど、比較的ナフサの影響を受けにくい素材へ変更できるか確認しておくと、選択肢を広げられます。
今、家づくりを検討している方がやるべき対策


ナフサショック下では、材料の値上げや納期遅延を完全に避けるのは難しいと考えられます。一方で、事前の確認や条件整理により、家づくりへの悪影響を防げる可能性があります。以下の3点を参考に、準備を進めましょう。
- 影響を受けやすい建材・設備を確認する
- 補助金や助成金がないか調べる
- 第三者の視点を取り入れて判断する
影響を受けやすい建材・設備を確認する
家づくりの検討では、断熱材や塗料、樹脂系建材などにナフサ依存度の高い部材が採用されているか確認しましょう。
納期遅延や価格変動のリスクがあるかを把握し、代替材料の有無も確認できれば、材料変更が必要になった際の影響を抑えられます。
補助金や助成金がないか調べる
住宅の省エネ化や断熱性能向上を目的とした補助金制度は、毎年継続して運用されています。建材価格が上昇している局面では、補助金の活用により実質的な負担を大きく抑えられます。
ただし、補助金は制度ごとに対象条件や申請期限が異なります。住宅性能や建てるエリア、契約時期によって利用できる制度が変わるため、早い段階で確認しておきましょう。



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第三者の視点を取り入れて判断する
住宅会社によって、材料の調達力や有事の対応方針は大きく異なります。1社の提案だけで判断すると、別の会社なら解消できる問題を見落とすリスクがあります。
そのため、見積金額だけでなく、次の点は比較しておきましょう。
- 契約後、いつの時点で価格が確定・固定されるのか
- 希望する建材や設備の納期はどれくらいか
- 納期遅延や供給不足が起きた場合、代替品や仕様変更に対応できるか
ナフサショックの影響を比較する際は、住宅会社の規模だけでなく、建材・設備の在庫状況や仕入れ先、代替品を確保できる体制があるかも確認しましょう。
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ナフサショック下で早めに確認・判断した方が良い理由


ナフサショックの終息の目処が立ちにくい状況では、家づくりの検討を急いだ方が良い可能性が高いです。その理由は、以下の2つです。
- 材料費の上昇リスクを抑えられる可能性がある
- 納期や工期の遅延リスクを回避しやすくなる
材料費の上昇リスクを抑えられる可能性がある
ナフサ由来の建材は価格上昇が続いており、現時点では価格がピークに達しているとは限りません。今後さらに上昇する可能性も考えられるため、早めに検討を進めておくとお得に購入できる場合があります。
また、仮に価格が落ち着いたとしても、現在より安くなる可能性は低いと考えております。実際にウッドショックの際も、一度上昇した価格が元の水準まで戻ることはありませんでした。


そのため、現時点では、できるだけ早めに契約して、仕様確定まで進めていくことのがおすすめです。
納期や工期の遅延リスクを回避しやすくなる
材料の供給不安が続く局面では、発注順に手配が進むため、後になるほど納期が遅れることが予想されます。場合によっては、一部設備メーカーで受注が一時停止となり、希望する設備を選べなくなるケースも考えられます。
そのため、すでに建てたい住宅会社や希望する設備がある程度決まっている方は、家づくりを止めて様子を見るのではなく、仕様確定までをできるだけ早めに進めることが大切です。



ただ、焦って契約してしまうと、間取りや設備を十分に検討できず、入居後に後悔しそうです。



その通りです。早く進めることと、急いで決めることは別です。
間取りや設備は妥協せずに検討しつつ、納期に影響しやすい設備や部材から優先して決めていきましょう。
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まとめ|ナフサショック下の家づくりは判断基準の整理が大切


ナフサショックは、建材・設備の価格上昇や納期遅延につながる可能性があり、家づくりの判断を難しくする要因の一つです。
ただし、影響の出方は住宅会社や採用する建材・設備によって異なります。
すでに希望する住宅会社や設備が決まっている方は、価格や納期を確認したうえで、できるだけ早めに契約を進めるのがおすすめです。一方で、まだ住宅会社や予算が固まっていない場合は、焦って契約せず、まずは自分たちの条件を整理する必要があります。
どちらの場合でも、契約前に価格や納期への影響を確認しておくことが大切です。 住宅会社には、次の点を確認しておきましょう。
- 契約後、いつ価格が確定するのか
- 希望する建材・設備の納期に問題はないか
- 供給不足が起きた場合に代替品へ変更できるか
- 工期が遅れた場合にどのような対応になるのか



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まずは、今の予算で無理なく家を建てられるか確認してみましょう。
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